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Vol.12 マダニって・・・   ※2024年加筆・一部修正しました

 フタトゲチマダニ、クリイロコイタマダニ、ヤマトチマダニ・・・。なんだか早口言葉のような名前ですが、これらは犬や牛などに寄生するマダニの名前です。犬を飼っていればこのマダニたちに遭遇することは度々あるかもしれませんが、通常、一般の人にとってダニと言えばTVのCMでよく見かけるイエダニのような顕微鏡でしか見ることのできないダニを想像するのではないでしょうか?かくいう私も大学に入るまではその1人でした。

 初めてこのマダニを見たのは犬の実習授業中でした。大粒の小豆くらいの大きい塊で、色は濃い灰色、御影石のように鮮やかにテカっていました。最初は人工的な何かが犬にくっついているのかと思い、そいつを取り払おうとしましたが、案の定簡単に取れるわけがなく、よぉ〜く観察してみると「足がある!」と思った瞬間にこいつは生き物だと理解し、ゆっくり取り外しました。先輩に見せると「マダニ」と教えていただき、そこで初めてマダニの存在を知ったのです。

 改めて観察してみると「腹」に相当する部分が大きく膨れており、そこにヒビというか亀裂というか数カ所の窪み(おそらく大量に吸血した結果、腹の皮が伸びてシワができたと思われます。)が見られ、そのでっかい体の割には手足がごく一部に集約され、、なんだかドリフのコントに出てくるお相撲さんを想像してしまいます。(分かる人には分かってもらえると思います。)

 しかし、このマダニのすごい?ところは、ドリフのお相撲さんは倒れてしまうと誰かの手助けがない限り起き上がることができませんが、マダニはひっくり返しても器用に起き上がることができるのです。(場所によっては無理なところもありますけど。)
 診察中にこのマダニを発見して取り除いたときに、マダニを潰せばいいのですが、血が飛び散ったり、後で標本にと考えて、とりあえず仰向けにひっくり返しておいていても、気がつけばカメのようにノロノロ歩いています。深い容器に入れておいてもマダニたちは体が重いだろうに器用に壁を登ってきます。

 そんなマダニは、マダニの付いた動物から一度脱落すると、草むらで次にやってくる動物をずっと待ち続けています。マダニの足はひっつき虫のように触れた物に簡単にくっつくようにできています。散歩中に簡単にもらってしまいますので駆除剤をしっかりと使用してください。